ベネフィットとは何か?

ベネフィットとは何か? 商品説明と何が違うのか?

「ベネフィット」とはマーケティングで、どういう意味を持つのか? 似たような意味の「性能」「機能」とは何が違うのか? 分かりやすく説明し、さらに一歩進んだ深い学びを提供します。

ベネフィットとは?

マーケティング用語のベネフィットとは、商品から得られる価値や便益のことを言います。商品の性能や機能とは異なり、商品から得られる価値や便益がベネフィットです。

例えばスマートフォンの場合、「画面解像度」や「情報処理スピード」は商品の性能です。これに対し、それを使うことで得られる「画面スクロールの滑らかさ」がベネフィットになります。

両者の違いは、客観性の有無にあります。

画面解像度や情報処理スピードは、カタログにデータがあるように、誰が何と言おうと変わらない客観的な数値です。これに対し画面スクロールの滑らかさは、人によって判断が変わります。滑らかだと思う人もいれば、思ったほどでもないと思う人もいるでしょう。

言い換えれば、ベネフィットは顧客の主観です。客観的な裏付けのある性能や機能と大きく異なり、顧客の主観に左右されます。そしてここがこの用語を知るうえで、最も重要なポイントなのです。

なぜなら顧客の主観こそ、商品の購入で最も重要な要素だからです。

画面スクロールの滑らかさは、顧客が購入する時、直接的に影響する要素です。これに対し画面解像度やCPUの処理スピードは、カタログ値を参考することはあっても、直接的に影響するとはいいにくいでしょう。

  • 商品を伝える時に、性能や機能だけでは顧客の心に響かない。
  • より響くように伝えるには、顧客視点に立つ必要がある。
  • その顧客視点に立った商品描写を、ベネフィットと定義しよう。

これがマーケティングにおいて、ベネフィットという用語が重要となる理由です。
多くの記事が触れているように、マーケティング用語のベネフィットとは、商品から得られる価値や便益のことを言います。ただより実務的に理解するには、ベネフィットとは顧客視点に立った商品描写であり、それは顧客の主観を代弁するものである。こう理解して良いでしょう。

さて、ここからが面白い話です。
ベネフィットをさらに踏み込んで理解すると、ビジネスや商売の本質が見えてきます。以下はとても参考になるので、読んでみて下さい。

お客さんは、何を買うのか?

最初に考えてほしいのは、いったいお客さんは何を買うのかです。ゴルフクラブで考えてみましょう。お店で、クラブを見ていると、店員さんが近づいてきました。

「いかがですか?」
「うん、ちょっとシャフトが柔らかすぎるかなぁ」

「お客さんは体格もいいので、もっと固い方が飛びますね。これはどうです? 石川遼と同じモデルです」
「おぉ、これか!! いいけど、ちょっと値段がなぁ・・・。」

あなたがためらうと、店員さんは続けます。「フェースが特殊形状で、反発係数が高いんです」 そして、決め言葉が続きます。

「飛・び・ま・す・よ・!」

この言葉を聞いた瞬間、頭の中には石川遼の、綺麗なスイングが再生されます。テレビCMのようにスローモーションで・・・。そして放たれたボールは一直線に飛び、大空に吸い込まれるように消える。「ブーメランのように右に曲がって、林の中に吸い込まれて消える」という現実は、もう頭の中にありません。

お客さんは、クラブを買っているのではありません。「購入したクラブで打てるナイスショット」を買っています。このナイスショットがベネフィットです。ベネフィットは商品そのものでなく、商品から得られるメリットと言うことが出来ます。それは多くの場合、課題や悩みに対する解決策です。

売り手は何を売っているのか?

お客さんがベネフィットを買っているのは分かりましたが、売り手は何を売っているのでしょうか? 商品でしょうか、それともベネフィットでしょうか? ゴルフクラブの例で考えれば、すぐに分かります。店員さんが売っているのはクラブです。残念ながらナイスショットは、売ることが出来ません。

そりゃ、そうです。ゴルフの腕前が分からないお客さんに「このクラブを1ヶ月お使いになって、300ヤード飛ばなかった場合には、喜んで代金を返金します!」なんて話は、ひっくり返っても言えません。売ることが出来るのはクラブであり、保証できるのは材質や長さなどの規格に留まります。

そうすると、お客さんはナイスショットというベネフィットを買っている。一方の売り手は、クラブという商品を売っています。両者は異なったものを売り買いしているのです。

ここが売買を理解する、キーポイントになります。

私たちはいつも、目に見える世界で考える癖があります。ですので売り手と買い手は、同じものを扱っていると錯覚します。ところが実体は別のものを、売り買いしているのです。

別のものを買っているから、お客は購入するときに不安を感じます。だからこそ、親切で相談に乗ってくれる売り手から、買いたくなるわけです。ここに、信用というビジネスで最も重要な要素が出てきます。そもそも同じものを買っているなら、不安もないし信用も必要ありません。

営業は信用が第一と、誰もが言います。ところがなぜ信用が重要なのか、筋道立てて教えてくれることはありません。売り手の商品と、買い手のベネフィットには、ズレがある。このズレを埋めるために、信用が必要になるのです。この売買の最重要ポイントを、シッカリ押さえてください。図にすると、次のようになります。

ベネフィット・商品・信用

  • お客さんには、悩みがある(ナイスショットが打てない)。
  • お客さんが買うのは、悩みの解決策であるベネフィット(ナイスショット)。
  • 売り手が売るのは、あくまで商品。
  • ベネフィットと商品は、一致しない。
  • だからお客さんは、購入時に不安を感じる。
  • この不安を静めるのが、信用の役割。

ぜひ気づいてください。

ここまで、よろしいでしょうか? そして是非ここで、気づいてほしいのです。あなたは今、ベネフィットという言葉の意味を知りたくて、このページに来たと思います。ここまでの説明で、ベネフィットの意味は分かったはずです。同時に重要なポイントにも、気づいてもらいました。それは「お客と売り手は、異なったものを売買している」という事実です。

なぜここが重要かといえば・・・、世の中には商品が売れなくて、困っている人がたくさんいるでしょう? その人たちが売れない理由は、商品だけを見るからです。商品を売るためには、どうしたら良いか? 最後に整理して説明します。

まず最初に、お客は商品を買っていない。買っているのはベネフィット。この事実をしっかり認識してください。

次に、商品を説明するのでなく、ベネフィットを説明して下さい。お客さんが買うのは、ベネフィットです。ベネフィットを買っている以上、ベネフィットを説明しなければ、お客さんは動きません。ゴルフクラブで言えば、シャフトの固さや材質より、「まっすぐ飛ぶ」や「飛距離が伸びる」を優先して説明します。

この商品はあなたにとって、これだけ多くのベネフィットがあるのですよ。これだけ役立つのですよ、とベネフィットを丁寧に、数多く説明することが大切です。

そして最後に、一番重要なのは信用です。ベネフィットをいくら説明しても、売るのは商品に留まります。私は商品を売ります。そしてこの商品は、あなたにとってこれだけベネフィットがあります。その全てを保証することは出来ません。けど私を信用してくれるなら、買ってください

これが、ビジネスのあるべき姿です。

お客がベネフィットを買う以上、買ってもらうにはベネフィットを数多く、魅力的に説明しなければなりません。ただしベネフィットを闇雲に伝えれば、それは誇大広告と変わりません。ベネフィットが多ければ多いほど、魅力的であればあるほど、それを支えるだけの大きな信用力が問われます。最後は信用なのです。売買では常に、あなたの信用力が問われると思ってください。

 

以上、ベネフィットとは何かに始まり、買い手と売り手の関係、そしてなぜ信用が重要なのか、を説明しました。今後の指針にしていただければ、何よりに思います。




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