ベネフィットを直訳すれば、便益です。お客さんが商品から得られる便益をベネフィットと言います。ここでは、商品とベネフィットの違いを明確にし、売り買いの真実に迫りたいと思います。

お客さんが買っているものは何か?

最初に考えてほしいのは、いったいお客さんは何を買っているのかです。ゴルフクラブで考えてみましょう。お店で、クラブを手にとって感触を見ていると、店員さんが近づいてきました。

「いかがですか?」
「うん、ちょっとシャフトが柔らかすぎるかなぁ」

「お客さんは体格もいいので、もう少し固めのシャフトのほうが飛ぶかもしれませんね。これなんかどうですか? 石川遼プロが使っているモデルです」

「あぁ、これか。いいけど、ちょっと値段がなぁ」

「フェースが特殊形状で反発係数が高いんです」 そして、決め言葉が続きます。「飛・び・ま・す・よ」と。

この言葉を聞いた瞬間、テレビのスイッチが入ります。画面には、石川遼選手の綺麗なスイング映像が再生されます。テレビCMのように、スローモーションで。そして放たれたボールは、一直線に飛び、大空に吸い込まれるように消える。

「ブーメランのように右に曲がって、林の中に消える」という現実は、もう頭の中にありません。

お客さんは、クラブを買っているのではありません。「購入したクラブで打てるナイスショット」を買っています。このナイスショットがベネフィットです。

ベネフィットは商品そのものでなく、商品から得られるメリットと言うことが出来ます。それは多くの場合、課題や悩みに対する解決策です。

売り手は何を売っているのか?

お客さんがベネフィットを買っているのは分かりましたが、売り手は何を売っているのでしょうか? 商品でしょうか、それともベネフィットでしょうか?

ゴルフクラブの例で考えれば、すぐに分かります。店員さんが売っているのはクラブです。残念ながらナイスショットは、売ることが出来ません。

そりゃ、そうです。ゴルフの腕前が分からないお客さんに「このクラブを1ヶ月お使いになって、300ヤード飛ばなかった場合には、喜んで代金を返金します!」なんて話は、ひっくり返っても言えません。売ることが出来るのはクラブであり、保証できるのは材質や長さなどの規格に留まります。

そうすると、お客さんはナイスショットというベネフィットを買っている。一方の売り手は、クラブという商品を売っています。両者は異なったものを売り買いしているのです。

ここが売買を理解する、キーポイントになります。

私たちはいつも、目に見える世界で考える癖があります。ですので売り手と買い手は、同じものを扱っていると錯覚します。ところが実体は別のものを、売り買いしているのです。

別のものを買っているから、お客は購入するときに不安を感じます。だからこそ、親切で相談に乗ってくれる売り手から、買いたくなるわけです。ここに、信頼というビジネスで最も重要な要素が出てきます。そもそも同じものを買っているなら、不安もないし信頼も必要ありません。

営業は信頼関係が第一と、誰もが言います。ところがなぜ信頼が必要なのかを、筋道立てて教えてくれることはありません。売り手が提供する商品と、買い手が求めるベネフィットには、ズレがある。このズレを埋めるために、信頼が必要になるのです。

ここで取り上げたベネフィット・商品・信頼は、販売の根本的な要素です。そしてこの3大要素は、コンバージョン率を向上させる時においても、当然のごとく三本柱として聳え立つことになります。

以上、ここまで。

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