売上アップに悩むB2B企業の経営者に向けて、マーケティングと営業のボトルネックを11ポイント選びました。過去20年にわたるコンサルティング経験から、最も重要な点を厳選しています。特にマーケティングオートメーション、営業DX等、受注プロセスをシステム化する前には、ここに掲げたポイントをクリアすることが、不可欠になると思ってください。
目次
全体像の説明
上記のスライドを見てください。全体図になります。流れは左から右です。順にマーケティング、インサイドセールス、営業(セールス)、固定客へ、と4つのステージが並んでいます。顧客を1つ1つステージアップさせ、最終的に受注・固定客へと進めるのが、マーケティングと営業のゴールです。
各ステージには、次の4項目を整理しています。
- 顧客像
- 課題(タスク)
- 手法
- ボトルネック
以下、各ステージの概要をご説明します。
マーケティング
マーケティングの対象は潜在顧客になります。潜在顧客とは御社の商品サービスに、潜在的な興味を持つ企業です。効果的なメッセージを伝えることで、興味を喚起し見込客になってもらいます。ここでの課題(タスク)はリードの数と質の向上です。顧客にアクセスする方法は、いわゆるWebマーケティングから伝統的なオフライン広告、そして展示会やイベントなど多岐に渡ります。
インサイドセールス
インサイドセールスの対象は見込客です。見込客とは、ぼんやりした興味関心はあるものの、具体的なニーズになっていない顧客です。情報収集はするものの、自ら積極的に行動せず、受身の状態になっています。
(参考)
見込客 :商談前の状態を示す、広く一般に使われる用語。リードとも言われる。
リスト客:見込客に失注客や休眠客を加え、リスト化された顧客という意味の用語
ここでの課題(タスク)は、選別(クオリフィケーション)と育成(ナーチャリング)です。両者はクルマの両輪であり、どちらが欠けても上手くいきません。
顧客の選別(クオリフィケーション)
マーケティングの結果として得られるリードは、玉石混合の状態であり、重要な顧客もいれば、そうでない顧客、さらには競合企業も混じってきます。時間を効率的に使うためにも、早く重要顧客にアプローチしなければなりません。ですので最初にやるべきは、顧客の選別(クオリフィケーション)です。どの顧客を優先すべきか選別基準を統一し、優先順位をつけていきます。
顧客の育成(ナーチャリング)
ナーチャリングとは、見込客が商品サービスに関心を持ち、商談へ進むよう継続的に情報を提供する活動をいいます。最近普及している用語であり、とても良い印象を受けますが、安易に取り組むと失敗するので、注意が必要です。
営業(セールス)
ここは営業活動の本丸です。顧客側には具体的なニーズがあり、主体的に行動する意思があります。営業パーソンは顧客と1対1の状態をつくり、ヒアリング、情報提供、事例説明、サンプル提供(テスト、デモ等)、見積、クロージングと進めることになります。
営業の諸課題は、その場その場で臨機応変に対処することが重要です。この場で包括的な説明をしても、皆さんの諸事情が違う以上、納得した説明にならないことが想定されます。ですのでここでは、最も根本的な問題を1つ取り上げます。
「注文する瞬間の顧客心理」を分かっていない
これは営業の根幹部なので、ここが分かると営業の諸問題は芋づる式に解決します。またDX等を進める際は、絶対に理解すべきポイントです。
固定客へ
受注後の課題は、リピート注文です。メンテナンスサービスや消耗品の供給等で継続的な関係を作り、リピート注文に繋げることが次の課題になります。業種業態によっては自動的にリピート注文になることもありますが、リピート注文に繋げる営業活動は極めて重要です。
なぜなら、これは感覚な話になりますが、受注までの企業活動は全てコストであり、リピート注文になって初めて収益が生まれるからです。収益がプラスに転じるのは、注文からではありません、リピート注文からです。
マーケティングのボトルネック5選
スライド一番左のマーケティングにおいて、どのようなボトルネックがあるのか、5ポイントを説明していきます。
1.不適切な集客ルート
集客ルート、見つかりましたか?
どの検索ワードを重視するのか、どのメディア(SNS)を使うのか、Webマーケティングなのか、オフライン広告なのか、イベントや展示会なのか、、、。適切な集客ルートを探すのは非常に難しく、トライ&エラーが避けられない領域です。それは相手が不特定多数であり、他のプロセスに比べ不確定要因が多く、御社の努力だけではどうにもならない点があるからです。
- 潜在顧客にリーチできる方法が、そもそもあるのか?
- 方法があったとしても、そこにかかるコストは許容範囲に収まるのか?
- 方法があったとしても、そこに十分な見込客数(マーケットボリューム)があるのか?
これらはマーケットが決めることで、御社が関与できる余地はありません。御社ができることは、どの方法(媒体、キーワード)をどのような条件で使うか、選択することだけであり、ここはマーケティング全体で最大のボトルネックなのです。逆にいえば適切な集客ルートを見つけた企業は、ほぼ間違いなくマーケティングが上手くいきます。それほどここは、重要なポイントだと思ってください。
2.フロント商品の選定ミス
フロント商品を安易に選んでいませんか?
本来はフロントエンドと言うべきですが、馴染のない方もいらっしゃるので、フロント商品と分かりやすく言い換えています。
注)フロントエンド: 新規の顧客に向けて用意した、集客用の商品
フロント商品の選定ミスは、非常に多く見られる問題です。残念ながら多くの企業は、間違っていることすら認識していない状態にあります。それは「これを売る!」と最初に商品を固定し、それがフロント商品になってしまうからです。商品が決まれば、ある程度キーワードは決まるし、大筋の集客ルートも決まります。極論をいえば、「商品を決める=集客ルートを決める」ようなものなのです。
前項で説明したように適切な集客ルートを見いだせるか否かは、マーケティング全体の命運を決める最重要項目です。それほど重要なのに、なぜ何も考えずにフロント商品を決め、集客ルートの選択の幅を狭めてしまうのでしょうか。
フロント商品を熟考する=集客ルートを熟考する=集客戦略を熟考する、です。マーケティング最大のボトルネックである集客ルートの選定とは、フロント商品を臨機応変に検討することなのです。
ここは非常に重要なポイントです。オンラインセミナー「コンバージョン思考」にて実例を挙げながら、詳細な説明をしています。⇒セミナー「コンバージョン思考」
3.顧客像が不明瞭
顧客像は明瞭ですか?
顧客像が不明瞭であれば、適切な集客ルートを選定することができません。今更ながらですが、ペルソナ設定は重要であり、ここをないがしろにして上手くいくマーケティングはありません。
4.稚拙なクリエイティブ
クリエイティブは細部に、気を使っていますか?
クリエイティブの問題は、冒頭部のコピーやデザインに始まり、分かりやすい商品説明、そしてユーザー視点のベネフィット、さらには競合優位など、種々の細かい問題があります。これら1つ1つはコンバージョン率に影響を与える重要なポイントです。
しかしながら内容が細かく、経営者向けとは思いませんので、必要な方はオンラインセミナー「サイト改善に繋がるGA4」の第1部を視聴してください。
5.CTAの選択ミス
ワンパターンのCTAになっていませんか?
CTAとはCall To Action の略であり、日本語にすれば「求める行動」となります。見込客になってもらうために、「資料のダウンロード」や「セミナー参加」を促すのが一般的ですが、これらがCTAに該当します。単に「資料」で済ますのか? 欲しくなるような「レポート名称」をつけるのか? それとも「事例集」に変えるのか? CTAは問合せの数字に直接影響する、重要ポイントです。入力フォームに遷移するボタンの直前に、CTAの説明が来ることを忘れないでください。
CTAについてはオンラインセミナー「サイト改善に繋がるGA4」の第1部で解説しています。
インサイドセールスのボトルネック5選
スライドの左から2番目、インサイトセールスにおいて、どのようなボトルネックがあるのか、5ポイントを説明していきます。
6.リストが未整備
顧客リストは最新の状態に、アップデートされていますか?
DXの普及に伴い、リストが整備された企業も多くなりましたが、依然としてリストが整備されていない企業も多いです。顧客リストは全ての起点であり、ここが整備されないと話が前に進みません。
顧客リストとはその企業の最大の資産であることを、再認識してください。あなたがゼロから100人の顧客リストを作るとしたら、一体どれだけの労力と費用がかかるでしょうか。顧客リストは、諸先輩方が築いた信用の歴史です。先人が築いた信用をないがしろにして、企業の成長はありえません。
7.部門間の連携不足
マーケティング部門と営業部門の連携は、問題なく出来ていますか?
見込客を商談に引上げるプロセスは、インサイドセールスと言われ、マーケティング部門とセールス部門の中間に位置します。本来は両部門がスムースに連携するのが理想ですが、現実は程遠いものになっているようです。
その遠因は、マーケティング部門と営業部門の仕事が、真逆の特性を持つ点にあります。マーケティング部門は基本的にオフィスワークです。広告運用やデータ解析のように、ディスプレイ上の細かい数字に向き合います。使うのは頭です。一方の営業部門は外に出るのが仕事です。顧客の要求に応え受注の喜びもつかの間、次はクレーム対応に追われます。使うのは脚です。
マーケティング部門は言うでしょう。「我々はクリック単価とCVRを参考に、バジェットに収まるよう最小CPAでリードを得ています。受注するかどうかは、営業部門の問題ではないでしょうか」
これを聞いた営業部門は、言い返すでしょう。「綺麗事で仕事ができるか。顧客のケツ持ちは俺達がやるのだ。もっとまともなリードをもってこい。そもそも日本人なら、日本語を使え!」
言葉遣いから世界観に至るまで、両者はすれ違います。これは企業文化にも左右されるので、一概に言えませんが、両部門の連携をスムースにするには、マーケティングと営業の両方を分かる人が、担当するしかないでしょう。しかしながら、そのような人材は皆無です。
ではどうしたら良いのでしょうか。私は300人程度までの従業員数なら、営業部門が主体となってインサイドセールスを含めたマーケティングを担当した方が良いと思っています。なぜならこれ位の規模までであれば、営業部門主体のマーケティングの方が、失敗リスクを最小にできるからです。
詳しくはオンラインセミナー「顧客開拓の第1歩」で説明しています。
8.過度なナーチャリング
ナーチャリングの前に、選別してますか?
最近見る問題が、過度なナーチャリングへの傾倒です。私はここをしっかり詰めないと、MAや営業DXを進める上で、大きな問題になってくると感じます。
まず最初にナーチャリング(Nurcharing)とは、「育成」「養成」という意味であり、その狙いは情報提供を通じ、顧客のぼんやりとした関心を、具体的な関心に引き上げることにあります。顧客の関心が具体的になったところで、初めて営業部隊が動き、商談ステージの営業効率をアップさせる。これがナーチャリングの目的です。
これは本当にその通りで、何の異論もないのですが、問題はナーチャリングの前にあるべき選別(クオリフィケーション)が抜けることです。分かりやすいように極論で例示します。
御社が製造業で溶接関連の生産設備を扱っているとしましょう。トヨタ自動車の生産技術からWebサイトに資料請求がありました。どう動きますか? すぐに営業がアポイントに向けて、動くのが当たり前です。案件が具体的になっているかどうかは関係なく、顧客のネームバリューにおいて、訪問の優先度はトップクラスです。ナーチャリングは1対1の営業活動を通じて、後から行えば済む話に過ぎません。
ところが尺定規にシステム化すると、「まだ案件が具体的ではありませんでした」「具体的になるまで、他社さんと同じメールを定期的に配信しました」という、頓珍漢なことが起こります。顧客の優先順位づけなくして、ナーチャリングは成り立ちません。このことを忘れないで下さい。
9.戦略なき情報発信
画一的な情報提供で、本当に顧客は動きますか?
御社の商品は専用品ですよ。
情報提供の戦略とは「誰に」「どんな情報を」「どのタイミング」で、伝えるかです。リスト客を商談ステージに引上げるわけですから、シッカリ頭を動かすことが大切です。画一的なメールを十把一絡げに送る手法は、顧客を疎遠にする危険すらあります。相手の顔を思い描きながら、丁寧に送付内容を考えてください。
特に問題になるのは、商品サービスが汎用品ではなく専用品の場合です。顧客に応じて求める機能やメリットが異なるのに、どうして画一的な情報で顧客が動くのでしょうか? 常識で考えれば分かりそうなものですが、画一的な情報を流し続ける企業がとても多いです。
10.誤ったアポイントの取り方
トーク力(話力)で人を動かせると、本当に思っていますか?
アポイント取得には、トークスクリプトが重要である。確かにそういう業種もありますし、頭から否定するつもりは毛頭ありません。しかしながら私は、考え方が根本的に間違っていると思います。
自分の話力で相手を動かせる、と思うのは慢心です。大事なことは相手の意思であり、動く気がない相手を動かすことは、百害あって一利なしです。相手を動かすのでなく、動く相手を探すこと。動く相手を早く探す、すなわち相手を見極める力が重要なのです。
営業(セールス)の最大のボトルネック
スライド左から3番目、営業ステージのボトルネックを説明します。これまではボトルネックを5つ挙げてきましたが、ここでは総花的に項目を列記せず、営業にとって最も重要な1ポイントを取り上げます。
その最も重要な1ポイントが「注文する瞬間の顧客心理」です。ぜひ下記をお読み下さい。営業上の多くの問題は「注文する瞬間の顧客心理」を理解することで、解決できます。またここを理解することは、DXやMAを進める時の重要な指針になるはずです。
11.注文する瞬間の顧客心理とは?
- あなたは何を売っているのでしょうか?
- 同時に顧客は何を買っているのでしょうか?
改めて考えてみて下さい。
参考までに私は前職で、鋼板用のレーザー溶接機を販売していたことがあります。ですのでそれを例に、考えていきます。私が売っていたのは溶接機です。これに対して顧客が買っていたものは、何でしょうか?
売っているのが溶接機なら、買っているのは溶接機でしょう。
そんなこと、当たり前じゃないですか?
こう思うかも知れませんが、ここを深く掘り下げてほしいのです。
顧客はこう言います。
- 今の溶接機は毎分2mしか溶接スピードが出ません。今後は毎分3mのスピードが必要です。
- 板厚1.2mmの鋼板を溶接すると、溶接強度が足りません。もっとぶ厚い鋼板を溶接する必要があります。
- 亜鉛メッキ鋼板を溶接すると、表面の亜鉛が蒸気し溶接不良を起こします。品質安定が急務です。
- 鋼板同士の突合わせ精度が良くないので、溶接不良が起こりやすいです、、。
お分かりの通り、顧客には多くの要望事項があります。そしてそれが満たされることを望んでいます。顧客が求めているのは溶接機でなく、ある条件下の溶接(高速、板厚、品質、、、)です。顧客は溶接に関する要望事項が満たされることを望み、溶接機はそれを実現する手段に過ぎません。
ここでいう要望事項を、マーケティングではベネフィットといいます。ドリルを売っても、顧客はドリルを買っていない、顧客が買うのは、ドリルで開ける穴である。こういう説明がよくなされます。
少し長くなりましたが、最初にハッキリ認識して頂きたいのは、顧客が買っているものと売手が売っているものは違う。両者は同じものを、売り買いしているわけではない、ということです。
買っているのが溶接機に思えるのは、それが目に見えるからに過ぎません。溶接機は顧客の要望が化体した、ある種のシンボルであり、顧客心理まで踏み込めば、顧客が買っているのは「要望事項を満たすもの」です。それは必ずしも売手が売るものと、同じではないのです。
さて、ここまではお分かりの方も多いと思いますが、本当の問題はここから始まります。
顧客には多くの要望事項がありますが、その何割が満たされれば購入するのでしょうか?
すなわち、売手はどこまで要望事項を満たせば、購入してもらえるのでしょうか?
ここは非常に重要です。営業の核心部といえます。
なぜなら営業活動とは、顧客の要望事項を1つ1つ満たしていく行為であり、それがどこまで進めば受注になるかは、営業活動が注文書に切り替わる瞬間の話だからです。営業活動の本丸中の本丸といえます。
先に例示したように、顧客の要望事項は数多くあります。B2Bであれば、エクセルシートに整理された要望が2,3行で終わることはないでしょう。設置環境、利用条件等、あらゆる項目がエクセルに列記され、それをどこまで満たせるか、顧客は検討するはずです。
注)
要望事項が多いか少ないかは、汎用品か専用品かで変わります。汎用品の場合は専用品より要望事項は少ないですが、それは程度の違いであり、この話の本筋に影響するものではありません。
要望事項の9割を満たせば、顧客は購入してくれるのでしょうか?
それとも6割で良いのでしょうか?
答えを先に言えば、それは何割でもありません。9割の顧客もいれば、6割の顧客もいるでしょう。どこで注文に踏み切るかは、顧客次第の話になります。
なんだ、それじゃ質問の意味がないじゃないか!
そう思うかも知れませんが、そうではないのです。
大事なことは、顧客の要望をすべて満たす事はできない。どんなに努力しようが、営業パーソンには出来ない限界がある、ということです。なぜなら仮に完全なカスタム品であったとしても、予算制約で出来ない場合があり得ます。また現在の技術レベルでは不可能な場合もありますし、先々での対応など約束できないこともあります。
これを顧客側の視点で言い換えれば、顧客は要望事項の全てが満たされない、不安のなかで購入を決断せざるを得ない、ということになります。顧客は失敗するかも知れないリスクを背負い、崖から飛び降りる決断を迫られます。例外なく最後には、リスクをとる決断を迫られるのです。そして決断は怖い。その時顧客は、何を頼りに決断するのでしょうか?
頼りにするのは、営業パーソンです。この人は信頼できるだろうか、何かあった時、助けてくれるだろうか、適当な事を言って逃げないだろうか、営業パーソンの全人格から判断します。
眼の前の営業パーソンは、これまで自分の要望事項にどのように向き合っただろうか?
- 要望事項を1つ1つ、こまめに拾ってくれただろうか?
- 無理筋の要望でも、無視しなかっただろうか?
- 知ったかぶりで、答えていなかっただろうか?
- 要望を満たせない場合でも、理由を丁寧に説明してくれただろうか?
自分の要望事項に営業パーソンがどう向き合ってきたか、その姿勢を全人格において判断します。
注文の有無は、要望をどれほど(何割)満たせるか、ではないのです。
どのような姿勢で要望に向き合ってきたか、で決まります。
注文をもらうと営業パーソンは嬉しくなります。それは自分の人格が評価されたことが、体感として分かるからです。泣きたくなるほど、嬉しいのですよ、本当に。そしてここが営業のプライドであり、苦しいなかを前に進むエネルギーになります。
今回この話を長々とした理由をぜひご理解下さい。
この核心部を理解しないでDXを進めると、全体が間違った方向に流れてしまいます。
仮に顧客から、逐一ヒアリングするのでは労力が大きい。わざわざヒアリングしなくとも、サイト上から記入用紙をダウンロードしてもらい、要望事項を記載してもらえば済む。こう判断したとします。
これは営業活動を合理化する視点では正しいでしょう。
ただそれは、営業パーソンへの信頼醸成の機会を失うことでもあります。
顧客の要望事項をヒアリングしている時、営業パーソンがどのようにうなづくか、表情、声のトーン、仕草、こういう小さなことの積み重ねが、最後の信頼を形成します。
くれぐれも誤解しないでほしいのですが、私は決してDXや合理化を否定しているわけではありません。無駄な活動を省くことは、企業として当然です。ただし営業活動の合理化には、常に信頼醸成の機会の喪失という、リスクがつきまとうことを忘れないでほしい、ということです。
合理化を進める際に無条件に突っ走るのでなく、信頼醸成の機会を維持するという、ブレーキを踏みながら走ってほしい、ということになります。
営業パーソンの信頼なくして、注文はありません。このあたり前のことを、本章では丁寧に説明させて頂きました。当たり前のことだけに、見過ごされやすいです。そしてこの認識が甘くなると、合理化という名の元で、営業の根幹が崩れていきます。
まとめ
以上、やや駆け足となりましたが、マーケティングと営業のボトルネックを11ポイント説明いたしました。B2Bビジネスの一般的な説明のため、業種業態によっては違和感を感じる点があったかも知れません。あくまでも、経営者が思考を整理する際の参考として、ご活用ください。
当社は「ものづくり企業」と「web制作会社さん」を中心に、マーケティングから営業まで一気通貫でコンサルティングしています。詳しくは個別コンサルティングをご覧下さい。
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