コンバージョンアップを考える時、ページのどこをチェックすべきか? シンプルで有用な考え方を説明します。シンプルですけど、とても深いですよ。
考え方は、とてもシンプル!
言うまでもありませんが、Webサイトには様々なページがあります。トップページに始まり、商品説明のページや事例紹介ページ、さらには会社概要のページ等、挙げ始めたら、きりがありません。
様々なページから、このページのここをチェックして下さい、と言うことはできないので、考え方を押さえてください。今回ご説明する考え方は、どんなサイトにも使えますし、どんな販促ツールにも使える、とても応用範囲の広い考え方です。
その考え方とは、入口・出口・中ぱっぱ!
とても覚えやすいですから、この場で覚えてしまいましょう。
入口・出口・中ぱっぱ!
えっ、ふざけてる?
いえいえ、決してふざけていません。
入口・出口・中ぱっぱ! この考え方が、ものすごく大事です。イメージとしては、入口を入ったら出口に向けて、パッパ、パッパ、と蒸気機関車が一生懸命に煙を吹き上げて走っている感じです。まずはランディングページを例に、説明しましょう。
ランディングページはここをチェック!
ランディングページを「入口・出口・中ぱっぱ!」で考えると、次のようになります。
- 入口 : 冒頭のファーストビュー
- 中ぱっぱ: 中盤の商品の特徴1~7
- 出口 : 下部の求める行動
入口: ファーストビュー
ファーストビューとはページを開いて、最初に目に入るエリアです。ここで問題になるのは、リンク元とファーストビューに、食い違いがないかどうかです。
ユーザーはリンク元で、何らかを期待をもってクリックします。その期待は、リンク先で示されなければなりません。リンク先で最初に伝わる内容(ファーストビュー)が、期待に反していれば、「なーんだ」と思い帰ってしまいます。クリックという小さな行動でも、その期待に応えないといけません。
要するに、入口ではあらゆる点において、前プロセスとの整合性が問われます。デザインや内容は言うまでもありませんが、言葉のわずかな食い違い(表記揺れ)まで、避ける必要があります。リンクの前後というのは、本当に微妙です。細心の注意を払って、整合性を追求してください。
中ぱっぱ: 商品の特徴
「中ぱっぱ」に相当するのは、中盤に書かれる商品の特徴になります。ここで問われるのは、ユーザーの行動心理を高めているかどうかです。
どういうことかと言えば、商品の特徴1を読んだら、「なるほど、そういうことが出来るのか!」と思い、特徴2に進んだら、「ほー、そうなんだ」と納得し、特徴3,4,5,と進むに従って「ふむふむ、なるほど、なるほど」」と気持ちが高まり、特徴6,7で、「うーん、いいねぇ」とワクワクしてくる。こういう形で、ユーザーの気持ちを引上げていく必要があるのです。
ユーザーにはページの後半で、次の行動に進んでもらわねばなりません。そのために「中ぱっぱ」では、ユーザーの行動エネルギーを高めておく必要があります。要するに「中ぱっぱ」は、ユーザーをページの中盤から後半に勢いよく進めるエンジンの役割を担う、と理解して下さい。
多くのランディングページ、特に表面的な内容に留まるページは、この商品の特徴が乾いています。乾いているという、感覚的な表現で申し訳ないのですが、「ぐっ」と来ないのです。私がベネフィットこそ、コンバージョン率を高めるエンジンである、と言い切る理由がこれです。乾いたベネフィットでは、ユーザーは行動の勢いを失います。特徴4あたりで「なんだかなぁ、、、」と失速し、特徴5でページを離脱していきます。
出口: 求める行動
出口に相当するのは、求める行動です。求める行動とは「無料体験」「資料請求」「購入」のように、ページ後半でユーザーに求める行動を言います。この業界では、Call to action (CTA)ということもあります。
ここでチェックするのは、求める行動にどの程度の負担感があるか、です。仮に求める行動が購入なら、そこには金銭的な負担を伴います。これに対し、求める行動が資料請求なら、そこに伴う負担は記入フォームに個人情報を入力するだけです。もちろん個人情報の入力にも負担感はありますが、少なくとも購入より負担感は少ないです。
そして大事なことは、中ぱっぱで引き上げたユーザー心理とのバランスなのです。どういうことかと言えば、中ぱっぱでユーザーの行動心理が十分に高まっていれば、購入のように高い負担感を求めても問題ありません。逆に中ぱっぱが弱く、行動心理を十分に高めていないなら、メルアド登録のように、負担感の少ない行動で対応せざるを得ません。
求める行動をどうするかは、受注戦略とも関係しますが、コンバージョン視点で大事なことは、中ぱっぱでどの程度、行動エネルギーを高めているか、そのレベルを踏まえて、求める行動を選択する、ということです。
次はリスティング広告でも考えてみましょう。
リスティング広告はここをチェック!
リスティング広告も入口・出口・中ぱっぱで、考えることができます。
- 入口 : キーワード
- 中ぱっぱ: 広告文
- 出口 : リンク先ページ
入口に相当するのは、キーワードです。そのキーワードで検索したユーザーは、何を期待するのか? その期待を言葉にしたのが、広告文(中ぱっぱ)になります。そして出口として、リンク先ページに繋げていきます。リンク先ページ(出口)では、広告文(中ぱっぱ)との整合性を取り、違和感のないように作ります。
入口であるキーワードから、中ぱっぱの広告文を経て、出口となるリンク先ページへと、違和感なく流れるように作る。お分かり頂きたいのは、入口、出口、中ぱっぱがそれぞれ別個に独立するわけでなく、全体としてスムースに流れるかが問われる、ということです。
Webサイトのここをチェック!
webサイトも整理しておきましょう。
Webサイトの場合、ページ遷移のパターンが様々なので、話を絞ります。ここではコンバージョンアップの視点から、真っ先にチェックすべき集客ラインに絞って説明しましょう。
- 入口 : 最多アクセスページ
- 中ぱっぱ: 内部リンクの構造で変わる
- 出口 : 資料請求・お問合せ等、求める行動の記載されたページ
入口は最多アクセスページです。そのサイトで最もアクセスの多いページを特定します。一般のコーポレートサイトであれば、トップページになるでしょう。ただコンテンツの充実した多ページサイトなら、特定の記事ページが最多アクセスページになっていることも多々あります。
どちらにしても最多アクセスページを特定して下さい。なぜ最多アクセスページに絞るかといえば、最多アクセスを効率的にコンバージョンさせる方が、新規にアクセスを増やすより確実だからです。
ここは非常に誤解する方が多いですが、アクセスアップは外部要因から大きな影響を受けます。うまくいく時はすごくうまくいきますが、そうでない時は試行錯誤が続きます。博打を打つ感覚に近いのです。
これに対して既存のアクセスをコンバージョンに繋げるのは、サイトの内部変更だけで済みます。それがどれだけ大変な作業でも、外部要因の影響は受けません。営業との調整など社内的には大変であっても、全ては社内の内部要因で、自社でコントロールできない不確実性はありません。
次に出口を考えましょう。出口は求める行動の記載されたページです。資料請求を求めているなら資料請求ページですし、商品の購入を求めるなら購入ボタンのあるページです。求める行動が複数ある場合もありますが、ここでは便宜的に1つと仮定して話を進めます。
最後に中ぱっぱは、内部リンクの構造で変わります。どういうことかと言えば、入口と出口が直接リンクしているなら、入口ページか出口ページのどちらかに、中ぱっぱの役割が求められます。中ぱっぱの役割は、行動のエンジンでした。ランディングページにおける中ぱっぱの役割が、どちらかのページに必要になるということです。
もし入口と出口の間に1ページあるなら、そのページが中ぱっぱの役割を担います。行動に向けてユーザーの気持ちを高めるコンテンツが、そのページに必要となります。
Webサイトについては、複雑に感じるかも知れませんが、考え方は常に1パターンです。入口と出口を決めて、中ぱっぱを考える。マーケティングは受注フローの一部ですから、各部分をバラバラに考えても、あまり意味がありません。入口・出口・中ぱっぱは、フローで物事を見る時にとても有効な考え方です。
それではここでもう一歩進んで、マーケティング以外の事柄を考えてみましょう。
プレゼンテーション
客先でのプレゼンテーションは、どうでしょう? 簡単にみていきます。
- 入口 : 第1声
- 中ぱっぱ: 中盤
- 出口 : 最後
最初の第1声をどう切り出すかは、掴みの部分でとても重要ですよね。最後をどう締めるかは、受注に影響する程、重要かも知れません。それにも増して重要なのは、中盤で伝える内容、すなわちプレゼンテーションの核の部分です。そこが貧弱なら、何の意味もなくなります。
人との付き合いでも
同じように、この考え方は、人との付き合い方にも、当てはまります。
- 入口 : 出会いは、どんな形か?
- 中ぱっぱ: どんな思い出が残ったか?
- 出口 : 別れは、どのように来たか?
入口・出口・中ぱっぱで整理できますね。
どうでしょう?
もうそろそろ、気づいてもらえたでしょうか?
「入口・出口・中ぱっぱ!」とは、フローをチェックする時に有用な考え方です。フローとは時間の流れであり、それは人生も同じです。「入口・出口・中ぱっぱ!」は、究極的には人生の縮図なのです。
人は誰もが生を受けて、死を迎えます。入口に生があり、出口は死です。これは自分の意思では、避けることが出来ません。だからこそ、その間をどう生きるか? 中ぱっぱが、問われるわけです。
入口・出口・中ぱっぱ!
私たちは、そんな世界に生きています。