今回は、「ゼロ」から「見込み客」に引上げるマーケティング・ステップで、数字ベースの説明をします。これから起業する方や、新規事業を立ち上げようとする方には、お役に立つと思います。
あるベンチャー支援団体で、講演したときの話です。
「チラシの反応率って、どれ位になるか、知っていますか?」
こう聞いてみたことがあります。
当時はダイレクト・レスポンス・マーケティングの普及期だったので、起業家なら、さすがに知ってるだろうと思っていた。
ところが、最初に返ってきた答えは、1%!
正直、冷や汗が出ました・・・。
「あなた、起業したらアウトだよ。」
口には出さなかったけど、思ったものです。
チラシを100枚まいて、電話が1回鳴るという世界は、この世にないです。
1/1000でも険しいラインで、現実には1~5/10,000で、見通さないといけない。
仮にチラシ1枚の配布単価を7円とすれば、反応率が1/10,000なら、
電話1本鳴らすのに、費用として7万円かかる。
これは電話が鳴るだけの話だから、注文まで考えれば、さらに受注率が絡む。受注率20%でみれば、注文当たり35万円の費用になってくる。
その一方で、反応率が5/10,000に引き上がれば、電話の費用は12,000円に下がる。注文あたりでみれば、6万円にまで下がります。
まずは反応率という数字が、起業家の生死を決めるし、それは新規事業でもほぼ同じ構図になることを知ってください。事業の回っている会社だって、新規開拓を無視したら、早晩行き詰ります。
今さら、チラシの反応率でもなかろうと、思ったのですが、起業家や自営業でないと、この「桁感覚」に気づかないだろうと・・・。
そしてこの桁感覚を知らないと、なぜ言葉を変えるのか、なぜ集客商品を考えるのか、こういった次の話が見えなくなってしまいます。
時代は、PPC広告を経て、ソーシャルに移っています。ソーシャルならキャッシュアウトはなくなるでしょう。ただそれは、時間コストという違う費用項目に置き換わっているに過ぎない。
相手は人であり、人を動かすには、心を動かさないといけない。
人の心は、軽石のように簡単に動く場合もあれば、地球より重い時もあります。
チラシ、Web、ソーシャル、これらは媒体選定の話であり、活用すべき道具に過ぎません。もちろん道具選びで、反応率が変わるのも事実で、それを軽視するつもりは、ありませんが、それは本質でないことも、知っておいてください。