なぜ、売り手視点の商品説明はダメなのか? それはユーザーが画面を読むスピードにある。Webサイトでは印刷物のように、手にとってゆっくり読むことはない。ザーっと、スクロールしながら読んでいく。それでも、記憶に留めなければならない。このような状態では、単なる商品説明は、右から左に抜けてしまう。ではどうすれば良いのか、本稿では単なる商品説明とは違う表現方法を説明しよう。
商品ではなく、ベネフィットを書く
言うまでもなく、Webコンテンツの中核は、御社の商品説明である。ここは商品の特徴を分りやすく書いていくわけだが、一つ注意してほしいことがある。それは商品そのものを説明するだけでなく、ベネフィットに力点を置くということ。
ベネフィットというと、分かりにくいかもしれないが、顧客が商品から得られるメリットと捉えてほしい。たとえば「世界最小サイズを実現」とカタログに書いてあったとしよう。これは商品説明であって、ベネフィットではない。お客が得られるメリットから書き換えると「置き場所に困りません」となる。
違いは、表現の仕方だけ。
言っていることは、全く同じ内容である。違いは表現の仕方であり、視点のとり方に過ぎない。もっと分かりやすい目安を言えば、主語が何になるかである。
「世界最小サイズを実現」これは「当社は世界最小サイズを実現しました」であり、主語は売り手になる。これに対して「無駄なスペースをとりません」を言い換えれば「あなたは、無駄なスペースをとりません」であり、主語はお客である。
同様に「業界最速の通信環境」は商品説明だが、「大容量データでもすぐに送信できます」「データ送信でイライラすることはありません」がベネフィットになる。
なぜ、表現の仕方が重要なのか?
「いちいちそんな細かいことに気を使わなくても、お客さんは分るよ」こう思う方が多いのだが、そこに問題があることを知ってほしい。
Web上では、お客はポルシェに乗っているのである。営業マンがカタログを使って説明する対面営業なら、「商品説明」でも構わない。なぜなら営業マンはお客の顔色を伺いながら話を進めるから、そこには一定のインターバルがある。
お客には、「この商品はどんなメリットがあるのだろう?」と頭のなかで変換する時間がある。
Webを読むときに心理を考えよう!
ところが、ホームページは、このような状態で読んでもらえない。
ブラウザの戻るボタンを押せば、すぐに元のページに戻ることができる。加えて、机の上の電話が鳴るかもしれない。大事な会議が迫っていれば、商品の写真だけ見て、流し読みするかもしれない。
素晴らしい商品でも、それがお客の言葉になっていないと、印象には残らない。もちろん、このように説明方法を変えただけで、コンバージョン率がアップするわけではない。ただ、ユーザーに効率よく伝えていくには、ユーザー自身の言葉を使うことがポイントになることは、間違いないだろう。