どんなサイトにも、会社概要ページがあります。ところがそこに「主たるお客」が書かれることは少ないです。本稿は、なぜ「主たるお客」が極めて重要なのか。サイトの中で、どのような位置づけになるのか。そして表記するときは、何に注意したら良いのか。以上3点をご説明しましょう。
主たるお客とは?
主たるお客とは、サイト運営者が「どんなお客と取引しているか」です。一般企業であれば、会社概要ページに記載される取引先情報になります。意味を広げれば、「顧客インタビュー」のようなコンテンツも含まれるし、個人事業であれば、「お客の声」になるでしょう。
「顧客インタビュー」や「お客の声」であれば、独立したページにするのがふつうですから、会社概要ページに含める必要はありません。ここで問題にしたいのは、サイト上に「顧客インタビュー」や「お客の声」がなく、会社概要ページにもお客情報が載っていない場合です。
なぜ主たるお客が重要なのか?
初めてサイトを訪れたユーザーは、運営者に興味を持ちます。それはサイトに書かれた情報が、どれほど信頼できるかを判断するためであり、会社概要ページのクリック率が高いのも、そこに理由があります。
会社概要には、所在地や代表者名など、いくつかの項目がありますが、ユーザーが一番関心を示すのは、主たるお客です。それは自分と同じような人がお客にいると安心するからです。
無料のセミナーにネクタイを締めて参加したら、周りはみんなジーンズにポロシャツで場違いな思いをした。こんな経験は誰にもあると思いますが、場違いな人と関係は持ちたくないわけです。
また付き合っているお客が分かると、その運営者の姿をより正確に知ることができます。特に数多くの顧客がいることを知れば「この会社なら安心だ」と思うことでしょう。
このように「主たるお客」は、ユーザーに親近感や信頼を与えるという点で、とても価値あるコンテンツです。
主たるお客を掲載することの、問題と対策
このようなメリットがあるにもかかわらず、多くのサイトが書かないのは理由があります。それは顧客情報は、ビジネスでいちばん重要な情報であり、Webのように誰もが見れる場所に公開したくないからです。
仮に御社が電子部品を販売しているとすれば、お客にはソニー、パナソニック、シャープもいれば、サムスンもいるでしょう。それらの顧客名を並べて書けば、たぶん営業部長が、苦虫を噛み潰したような顔になるはずです。
「ちょっと、ちょっと・・・。そんなことを書かれたら、営業活動に支障が出るよ。シャープさんはサムスンさんを目の敵にしているのだから。困るね・・・。」こうなってしまいます。それでは、どうしたら良いのでしょうか?
解決策は次のようになります。
1.社内の了解が得られるなら、会社名は出した方が良い。
2.無理ならば、業種に留める。
3.業種を書くときは、出来る限り具体的に、数多く書く。
主たるお客を掲載する目的は、御社がどのようなお客と付き合っているかを教えることで、ユーザーに安心感や信頼を与える点にあります。それは具体的に書けば書くほど、そして取引先の数が増えれば増えるほど、相手に伝わります。
ですので業種を、細かく細かく分解して書くのです。
仮に自動車部品を売っているのであれば、単に自動車業界と書くのではなく、もっと細分化させる。「自動車電装品業界」でも、まだ粗い。「自動車電装品ハーネス関係」くらいまで落としてください。
細分化することで、具体性が増しますし、言葉の数が増えます。まず重視すべきことは、「言葉の量」です。主たるお客で、言葉が5つくらいしか並んでいないと、とても寂しい印象を与えます。言葉の量を増やすことで、ビジネスが活況であることを印象づけてください。
コンテンツでは文字数が増えれば良いと、単純にいうつもりはありませんが、少なくとも主たるお客では、言葉の量を増やすことが重要です。そのためには、業種を細かくして、具体的に、具体的に書くことです。
今回お話した内容は表現のテクニックですが、表現をシンプルにしすぎるあまり、マイナスイメージを与えているサイトも多いので、ご紹介しました。
顧客情報は敏感なだけに、スルーしてしまうことが多いですが、敏感な情報こそ、お客が求めていることを肝に銘じてください。WEBサイトは営業活動の第一歩です。営業が守りに入ったら、会社は潰れますよ。