「高橋君、よく考えろ。営業なら注文をとるのが、君の仕事だろう?」 営業会議で受注できない理由を、どれだけ一生懸命に説明しても、こう言われれば「ぐぅの音」も出ない。注文をとることが営業の仕事である以上、言い返す言葉がない。今回は、この「ぐぅの音も出ないフレーズ」に焦点をあてて、コンテンツの問題を考えてみよう。
ぐぅの音も出ないフレーズから、問題を考える。
世の中にはこれを言われると、ぐぅの音も出ないフレーズがある。
「営業なら注文をとるのが、君の仕事だ」をはじめとして、
ビジネスであれば、「何よりもお客様のことを考えています!」
政治家であれば「国民のために、頑張ります!」だろう。
これらのフレーズは抽象度が高く、同意せざるを得ないので、会話が成り立たない。
「営業なら注文をとるのが、君の仕事だ」を例にすれば、本来、焦点を当てるべきは、
- どんなお客に絞るのか?
- どのような手順で受注するのか?
であり、そのレベルに落として初めて、実のあるテーマになってくる。
「お客様を大切に」であれば、
- どんなお客を大切にするのか?
- 具体的にどのように大切にするか?
の2点になるだろう。
このように、ぐぅの音も出ないフレーズを、会話が出来るレベルにするには、具体的に、具体的に考えることが必要になる。
コンテンツ制作でも、同じことが起きていないか?
問題はサイトのコンテンツも、同じことが起きている点にある。
仮に御社のサイトに「超特急で対応します」とあれば、ユーザーの関心は「何時間以内に対応してくれるのか?」になる。それなのに、「どこよりも迅速に」「業界でトップレベルの速さ」と書いても、それでは会話が成り立たない。
会話が成り立たなければ、ユーザーはそのコンテンツを読まなくなる。読まれないコンテンツは、存在しないに等しいから、ユーザーの関心レベルに合わせて、コンテンツは具体的に書かねばならない。
このようにコンテンツは、どれだけ具体的レベルに落とすかが、重要なポイントになる。ただ当然、ここには問題がある。具体的にすればするほど、話が明瞭になるので、責任の問題が出てくる。
結局は、経営者の覚悟なのか?
サイトに「24時間で対応」と書かないで「超特急で対応」になってしまう理由は、「24時間で対応できない時に、どうする?」という問題を考えるからである。
ここをどう判断するかは、最終的に経営者の腹一つだろう。平凡な数字ではインパクトがない。かといって、思い切ればリスクが出る。これをどう判断するかは、経営者が決めるしかない。
但し、テクニカルな対処法もあるので、一つだけご紹介しよう。
具体的にするというのは、何も数字に限定されるわけではない。仮に超特急対応と留めるにしても、それが具体的にユーザーに伝われば、コンテンツを読んでくれるし、問合せをする人も出てくる。
そのための方法として、お客の声を使う。お客の声は、実際の体験談であり、それは一つの事実である。仮に数字ベースの話になってなくても、迅速な対応を感謝している内容が並べば、それはユーザーに伝わっていく。もちろん、単にお客の声があれば良いわけではなく、どんな人が、どんな時に、どんな評価をしているかで、結果は変わる。
このようにコンテンツとは、あらゆる方法を駆使して、具体的に具体的に伝えなければならない。それは、ユーザーの関心がコンテンツを読む原動力である以上、会話が成り立たなければ、そこで終わってしまうからである。